
清水智裕

プロフィール
2008年、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業後、
’08~’10年まで「ワンダーシード」にて連続入選し注目を集めた清水智裕。
シンガポールや香港での展示参加も経験し、ここ最近大きく期待できる作家の一人である。
淡く物憂い彩色で、物語の一場面のように細かく描き込まれた風景。
曇天のなかを飛行機が滑空したり、原野でクマが立ち上がったり、満天の星空が湯船を覆ったり、
と清水智裕氏の絵筆はリアルなエピソードと奇想世界との間に広がる曖昧な宇宙を、
まるで永遠に残そうとするかのように黙々とキャンバスへ展開している。
画面に必ず登場するのは、髪を左右に編み込んだ丸顔の少女たち。
ときにアニメのヒロインのような軽さを、またある時は古い家族写真に似た重さを伴った存在感で、
絵のビジョンの奥深くへと私たちの心を誘う。
緩急の豊かな画面構成力に、版画やアニメのセル画を連想させるタッチもあえて混在させる、
カジュアルな印象の筆致がミックス。
それが全て油彩で表現される新鮮な魅力は、近年、国内外の個展やアートフェア、グループ展で
熱心なファンを獲得するようになった。

作品を作り始めた時期ときっかけは何ですか?
22歳。就職してしばらく経った頃です。
プログラミングの仕事だったため、すべての仕事がディスプレイ上だけで行われており、
どんなに長時間働いても実は何もしていないのではないかと思うことが多くなりました。
そこから、バーチャルではない実体を作り出せるようなこと、
手で触れられるものを作ってみたいと考えるようになり、
誰でも参加できる絵画教室に通い始めたことがきっかけです。

作品に共通するテーマやコンセプトについて教えてください。
なにを描いたかよりも、なにも描かれていない余白のほうに私は強い興味を持っています。
まっさらな紙や買ったばかりのキャンバスに、不意に付いてしまった鉛筆の汚れや
絵具の染みが私の想像力を加速させ、次に何をしたらいいのかを教えてくれます。
それに従って私は手を動かし、色を塗り、あるいは拭き取り、
どこまで描いてどこまで描かないかを推し量りながら、「魅力的な空白」を生み出そうとしています。

現在の作風に至るまで、どのような試行錯誤を重ねてきましたか?
まず奈良美智と村上隆を知ったことが大きいです。
油絵を絵画教室で習っていましたが、絵具を厚く塗りこめるような、
いわゆるテクスチャーを重視した絵を描いていたため、それとは対照的な、
軽快で明るくて親しみやすい両者の作品が大変新鮮で、とても可能性を感じました。
その後、キャンバスの隅までびっしり埋め尽くすような描き方をしていたのですが、
そのやり方に行き詰まりを感じ、今度はどんどん要素を消していく方向に転換しました。
キャンバスの中だけで完結するのではなく、
作品のその先に見る人の想像力を導くようなものが作れないかと、現在でも試行錯誤を続けています。


ご自身の作品において「色」はどのような役割を持っていますか?
想像力を加速させるきっかけにも制限させる要因にもなると思っています。
こちらから説明するのではなく、見た人の頭のなかで色が広がればいいので、
実際に自分が使うときにはなるべく最小限に抑えようとしています。
描き始めた当初と現在で、自分の中で最も大きく変化した部分は何ですか?
描き始めた当初は、自分が描いているときはもちろん、他人の作品を見るときでも、
描かれた物の形や色に意識が向いていましたが、次第に物自体の意味を考えることはなくなり、
その作品が、見た人の想像力を飛躍させる触媒の役割を果たせているかどうか、
を考えるようになりました。

今回、「tagboat Art Fair 2026」に出展される作品について教えてください。
描いてあるものより何も描かれていない余白の方に興味を持って、制作をしています。
今回出展する作品も、手を加えることを最小限にするにはどうすればいいか、
どこまで描いてどこまで描かないか、を考えながら作りました。

今後の制作において意識していきたいことを教えてください。
たとえば花を一輪、部屋に置いただけで全体の雰囲気ががらりと変わることがあります。
自分の作品がそのような触媒となり得るかどうか、
作品自体の良し悪しよりも周りの空間の気配に作用出来るかどうか、を意識していきたいです。
そのためなら絵画だけでなく彫刻や陶芸にも今後取り組むかもしれません。

4月24日(金)ー26日(日)開催:tagboat Art Fair 2026

「tagboat Art Fair 2026」
会期
2026年4月24日(金)ー26日(日)
詳細日時
・Preview -会場限定販売期間-
4/24 (fri) 16:00 – 20:00
・Public View -オンライン同時販売-
4/25 (sat) 11:00 – 19:00
4/26 (sun) 11:00 – 17:00
※3日間どなたでもご来場可能です
会場
東京都立産業業貿易センター浜松町館 展示場2階
〒105-7501 東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝
JR/東京モノレール 浜松町駅(北口)から徒歩5分
ゆりかもめ 竹芝駅から徒歩2分
都営浅草線/都営大江戸線 大門駅から徒歩7分
チケット代
1500 円(会期中再入場可能)
※障害者手帳のご提示でご本人様、付添いの方1名まで無料
※学生証のご提示でご本人様無料
※小学生以下のお子様は無料